創造の種

そこ!勘違いしない!ガンダム種じゃない!「創造の種」だって!

毎週木曜日はメディア科特有の造型基礎の授業がある。
この授業は僕が毎週楽しみにしている数少ない授業のひとつだ。あるときは絵を描いたり、あるときはアニメーションを作ったり。教授も個性的で面白い。仙人だったり、よくわけのわからない大柄の男だったり。とにかく面白い。
が、今回は僕の愚かしい脳みその範疇をはるかに超えた授業だった。僕がいつものアトリエ(授業はそこで行われる)に行くと張り紙が…

今日は美術館に行きます。
自費でいってね♪入場料はまけとくから。

そして地図が載っていた。周りの奴らも唖然としている。とりあえずその美術館までつらつらと向かった。トンでもなく暑く、たどりついたときには滝のように汗をかいていた。


美術館で教授が見せたかったのはこれらしい。
豊田市美術館
http://www.museum.toyota.aichi.jp/japanese/index.html
http://www.museum.toyota.aichi.jp/japanese/index.html

ヤノベケンジ
http://web.iminet.ac.jp/yanobe/
http://web.iminet.ac.jp/yanobe/

とりあえず凄かった。ロボットがでかい…。あれは幼き日に夢見た鉄人ではないか。そしてアトムのパチ物イメージさせるスーツ(ヤノベケンジ曰く、対放射能スーツ)に包まれた子供親父なキモいぷりてぃなトらやん。なにもかもがワンダーランドしていた。そしてあのバカでかいG.−T.R.Y.(ジャイアント・トらやん)はうたって踊りだし、ポスターでは火を噴いていた(後に金沢ではこどもの叫びにあわせG.−T.R.Y.は怒りゲージをため、火を噴くというアクションを実際にしていたことが判明)。怪しげな森の映画館では、あの不思議なトらやんが来場者に反応し胸のカウントが進むたびに歌って踊る。子供しか入れない映画館では、怪しげなフィルム(解説、というか寧ろ企画書には「冷戦時代のアメリカのアニメーション、ソ連プロパガンダ映像などわざと刷り込み、洗脳を意識した作品をつなぎ合わせ(コラージュ?)して流す」とあった。そのほかにもトらやんの原型にもなったヤノベケンジの父の腹話術上演、核爆撃から生き延びる方法などが流されていたとか。)を子供向けに上映していた。あくまでも子供向けだ。
あれがエンターティメントなのか、アートなのか分からなくなってきたが、それが創造の種なのだろう。
作者のヤノベケンジ大阪万博の跡地でその「種」を拾ったらしい。取り壊されるパビリオン群、打ち捨てられたロボット…。あたかも未来世界が崩壊したかのようなその現場で、夢と現実が交差する不思議な空間へと彼は通じていったらしい(パンフの解説より)。彼の作品にはそんなイメージが会った、創造の種、イメージの喚起、子供へのバトン、いろいろあるがとにもかくもこんなに感動したのは久々だ。
作品で空間まで作り出す。それが現代美術の新しい可能性かもしれない。美術分野を目指さない人にもあの空間にぜひ出向いてほしい。きっとなにか思うことがあるはずだ。


それにしても廃車で作ったマンモスのモニュメントを氷付けにしたりって…哀・地球博もびっくりだな。そして万博には実はそのモニュメントをシベリアの永久凍土まで海上輸送し、掘り出したマンモスの変わりに埋め、一万年後に掘り出すという企画があったそうな(ヤノベケンジ自身が提案したが「現実性のなさ」っていうので没になったとか)。