情熱的な死と再生―僕の復活―

自転車が五千円という大金を払って復活した。前よりいい感じかもしれない。サドルは前より高くなり、シートのサスペンションが消え、安定した感じになった。
やはりマイ自転車は落ち着く、というより気分が良い。どこまでも走っていけそうだ。いや、走れるだろう。なんたって気分が良いから、あの陰鬱としていた日々が嘘のように感じる。
久々に懐かしい高校の時の友人宅に押しかけて、昼食をご馳走になった。そうめんだった。もう夏だ。自転車の季節だ。心が躍る。友人ともバカ話で心が躍る。
今日はいろいろと気分がいい。あの暗い精神はなりを潜めた。ウェルテルは遠い人物となった。彼は僕の心の奥底に潜っていった。次の本を手に取った、次のスケッチブックを買った、自転車は復活し僕の心は一新とは行かずとも、入れ替わった。かの人物に自分を重ねることは無くなった。彼はもう旅に出たのだし、僕も自分の旅を始めなきゃならないからね。


さぁ次だ。