今さら時間の遅れを感じる

あいた時間はふさぐことは出来ないし、埋めることは出来ない。繕おうとすることはできるが。
復活した自転車での登校は気持ちが良かった。空はあいにく曇りだったが、頬に当たる空気が気持ちよく通り抜けていく。坂を登りきって、長い橋を眺めると陽炎が立ち昇っていた。前から言っていたが、ようやく夏であることがすんなり感じられた。
新しいスケッチブック一枚はネコの親子で埋まった。生まれて間もない子猫が母ネコの帰りを溝から顔を出して待っている、微笑ましい光景だ。春に生まれてはじめての夏を感じているのだろう、彼ら(彼女等かもしれないが)は熱そうに日陰に入っていった。子猫らは母親をしたってニャーニャー鳴きながらついていく。ハハと子の時間を邪魔するのは無粋だと思い、僕は自転車を走らせた。
三週間ぶりにでた授業は意味がわからない。てんでついていけない。三週間のブランクは重かった。デザインの授業に限っては僕の知らないうちにマウスのデザインまで進んでいた。僕はそのことを知らずにいたので今日の授業は少し寂しく、知らない世界を見ていた(先生の温情により後に配布されたプリント類をもらえた)。


時間は常に過ぎていく。僕らの歩むペースよりかなり早く。振り落とされないように気を引き締めて、今日も全身あるのみ。